今回はスーツについてです。こうやってスーツを探せば後悔しないよ、良いスーツを見つけることができるよ、ってのを経験を踏まえてお話ししていきます。
※最終更新日:2017/11/21
いつも青山・青木・コナカでツープライススーツを購入している人向けの話になります。 大雑把に分けてスーツは「イギリス」「イタリア」「アメリカ」の3つに分類できます。シルエットやディティールが違うと思っていてください。 イタリアなんかは南部と北部で違いますが細かいことは今回は置いておきます。 http://openers.jp/gallery/322801/modal/14 イギリス式のスーツは既成があまりないんですよね。上の画像は「ポールスミス」です。 イギリス式は立体的な胸元と絞ったウエストから生まれる「イングリッシュ・ドレープ」が最大の特徴となります。わかりやすく言うと逆三角形のシルエットを構築して男らしいシルエットを演出してくれるスーツです。 上の写真が逆三角形になっているのがわかりますでしょうか。肩のラインもパッドをいれて構築的にしているので次に紹介するイタリア式とはだいぶ違ってきます。 イギリス式は現代版の鎧とも言われるガッチリとしたスーツで、胸板が薄い斉藤さん。のような貧弱な体でも男らしさを演出してくれるスーツです。 (ポールスミスの特徴は別記事でいずれやりますが、所謂ガチガチのイギリス式とはちょっと違いますが、シルエットはイギリス式なので参考になるかと。) http://www.ring-store.jp/fs/ringstore/ISAIA/37071002035 上の写真は名門「イザイア」です。 イギリスを起源としながらも温暖な地域性から独自の進化を遂げたのがイタリア式(ナポリ)です。ミラノ等の北部に行くとイギリス色が強くなりますが、今回は差がわかりやすいナポリとの比較をしていきます。 パッと見でわかりやすいのが肩のラインで、イギリス式と比べるとストンと落ちているのがわかりますでしょうか。ナポリ式は肩パットをいれないナチュラルショルダーで肩に皺が入っていますよね。これをマニカカミーチャと言うんですが肩回りの可動域が広がり、着心地が格段に良くなります。 ウエストも極端に絞らないナチュラルな感じになっています。こんな感じで特徴は着心地に重点が置かれた軽やかな仕立てがイタリア式の特徴となります。 重厚な鎧のようなイギリス式と、軽やかな羽のようなイタリア式といった比較になりますかね。どちらが良い悪いではなく、それぞれ別の魅力のあるスーツです。 アメリカの名門と言えば「ブルックスブラザーズ」ということで上の写真はブルックスブラザーズです。 特徴はウエストをあまり絞らないボックスシルエットで、肩もナチュラルショルダーになります。アメリカ人はガタイがいいので着やすくて動きやすいといった機能性を重視するようです。ただ、最近ではスーツは世界的にも細身がスタンダードになっているので、ブルックスブラザーズでも上の写真の伝統的なラインだけではなく、細身のラインもあります。 体格のいいラガーマンとかには似合うスーツですが体が細い人には向かないスーツだと思います。 簡単です。STEP1で方向性を決めたらとにかく試着してください。いろいろなブランドのスーツを着てみて下さい。ブランドごとに特徴があるのでとにかく試着して体感することが大切です。 重要ポイントは「既成の方がパターンオーダーよりも安い」ことなんです(エルメスとかは除きます)。スーツの値段に大きくかかわってくる生地ですが、生地が同じなら既成の方が基本的に安いんです。そしてシルエットも良いものが多い、というかブランドならではのシルエットをしているので自分好みのスーツも探しやすい。 なのでベストなのは試着して自分に合う、自分好みのブランドを見つけることです。 次に試着したけど体に合うスーツがイマイチ見つからなかった場合。 例えばイギリス式がいいけどリチャードジェームスやポールスミスが体に合わなかったとかですね。イギリス式はそもそも既成が少ないの十分ありえます。 この場合はパターンオーダーをしましょう。お店によってシルエットは異なるのでちゃんとWebサイトで確認しましょう。ブログとかを探すのも◎です。 若干割高感はあるかもしれませんが、間違いなく体にフィットしたスーツを手に入れることができます。 Google先生に聞けばいろいろと教えてくれますが、一番重要なことは「体にフィットしているか」です。どれだけ仕立ての良いスーツでもフィットしなかったら意味がありません。 次に自分好みのシルエットのスーツなのか、です。イギリス式のスーツが好きだけど、あんまりフィットしないから妥協してイタリア式を買ったとしても心の底から満足できるでしょうか? 「あぁ、やっぱりイギリス式のスーツはカッコいいな」なんて後から思うのは非常に勿体ないので絶対に妥協はしないことをおススメします。 以下は斉藤さん。がスーツを購入するときに気にするポイントですが、最近は昔と比べるとそこまで気にしていません。仕立て=スペックという例えはおかしいかもしれませんが、スペックばかりを気にしても仕方がないということを年を取ってから気が付いた次第です。 スーツの良さは「生地」+「仕立て」だと考えて間違いないと思います。ある程度お金を出すと生地は「ウール100%」とか「コットン100%」とかに自動的になります。春夏だとコットン・リネン・シルクの混合生地なんかもありますがちょっと高いスーツになると基本的に天然繊維100%です。 もちろん天然繊維100%でもピンキリですが、それでも化学繊維を使用したスーツとは見た目の時点で大きく異なります。ツープライススーツを見た後に10万円前後のスーツを見れば一目瞭然だと思います。当然触り心地も全然違います。 ポリエステルを代表とする化学繊維はどうしても チープになるんですよね。価格が安いし皺になり難いというメリットもありますが、意外と寿命は短いです。化学繊維は丈夫なイメージがあるかもしれませんし、「ただ着るだけ」ならずっと着られますが毛玉が一杯できたりして見苦しくなります。 毛芯というのは表地と裏地を合わせるときに挟む芯地です。毛芯と書いていますが、一番良いとされている馬毛を使ったバス芯や、麻を使った芯、接着芯なんかがあるようです。ここら辺は購入する側からは見えない部分になりますが、立体感とハリを持たせる重要なポイントになります。 芯地を使ってどう仕立てるかですが、これには「フル毛芯仕立て」「ハーフ毛芯仕立て」「接着芯仕立て」と3種類あるので簡単に解説します。 ・フル毛芯仕立て 上の写真の青線で囲われてる前身頃の全面に芯地を入れて縫製する仕立てのことです。芯地にも縫製にもコストがかかる最も贅沢な仕立てです。 ・ハーフ毛芯仕立て 上の写真の赤線で囲われてる肩から胸くらいまで芯地を入れ、残りは接着芯を使用して縫製する仕立てのことです。フル毛芯仕立てよりも安価になりますが、だからダメだということではないです。フル毛芯仕立てよりも軽やかな仕立てにすることが出来るというメリットがあり、目指す方向性の違いとか考え方の違いになります。 ・接着芯仕立て コストを最重視した仕立てになります。料費も縫製費も安く抑えられる 反面、型崩れを起こしやすく、立体的なボリュームが出せないので安っぽい感じになります。 ちなみに春夏の裏地を使用しないアンコン仕立てでは芯地がないので毛芯は使用していませんので上記の話は関係ないです。 気になる確認の仕方ですが一番良いのは「店員に聞くこと」です。答えられない店員がスーツを売ってることもあるので困るところですが、逆に知ってる店員がいるお店は信用できます。自分で確認する場合は表地と裏地を引っ張ってみて間に何かが入っているかで判断できますが、、あんまりおススメしません。わかり難いのと加減を間違えるとスーツが傷みそうなので。 着心地には関係ないんですが写真のように襟ヒゲがある、ということは縫製にこだわってるぞっという証明の1つです。いくらでも手を抜けるところをしっかりやってますっとアピールしているわけです。ただ、必ずしも品質と比例はしないので過信は注意です。あくまで目安の一つ程度に思っていてください。 例えば写真のような「本切羽」と言われる袖の処理は着心地には関係ありませんが、ここもこだわりの1つです。特に春夏だと袖を捲れるようになるので実用的でもあります。 他にはボタンや裏地もあります。これらはスーツの程度によってだいたい決まってきます。安いスーツならプラスチックのボタンにポリエステルの裏地。ある程度のスーツなら水牛ボタンにキュプラの裏地になります。 この辺を気を付けて欲しいのはパターンオーダーとかで選ぶ場合ですが、生地に良いものを選んだらボタンは水牛にしましょう。プラスチックだとやっぱり出来上がりに違いが出ます。逆に裏地はそんなに気にしなくてもいいかもしれません。 上記写真の白い線。上衿と下衿の縫い合わせのラインを「ゴージライン」といいます。このラインが高いと対面している人の視点が上にいくので顔が目立つように、また若々しい雰囲気になります。逆に低いラインにすると視点が下がるので顔が目立たない、落ち着いた雰囲気になるそうです。 実は非常に重要なポイントなんですよね。頭が薄いとか顔に自信がない、なんて人は低めのゴージラインのジャケットがおススメかもしれませんね。 ちなみにゴージ=喉(のど)なので喉のラインってのが由来のようです。 コストパフォーマンスの良いスーツを紹介します。人によって合う合わないはあると思いますが、体に合えばコスパの点では非常に優れたスーツとなります。 いずれもコスパ抜群のスーツです。 サヴィルロウはガッシリ体型の方向け、ヒルトンは細身となっています。斉藤さん。は過去に試着しましたが結局購入していません。次に紹介するポールスミスの方が体にフィットしたからですが、コスパはコチラの方がいいです。2着買って11万円くらいなのでポールスミスの半額以下になります。 えー、知らぬ間にポールスミスのスーツラインであるロンドンがメインと統合されていました。しかもなんか値段が上がっているのでコスパ悪くなってしまいましたね。斉藤さん。も最近はポールスミスのスーツを買わなくなりましたが、いろいろ試着した中で一番体にフィットしたのがポールスミスでした。 細かい話は別途やりますが、お得に購入したい場合はアウトレットがおススメです。ゼニアの生地で7万くらいで売ってた記憶があります。
STEP1 自分の好きなスーツを知ろう!
イギリス式の特徴
イタリア式(ナポリ)の特徴
アメリカ式の特徴
STEP2 自分の体に合うスーツの探し方。
STEP3 良いスーツの条件とは?
生地は天然繊維100%がいいよ。
毛芯(けじん)を意識してみるといいよ。
襟ヒゲがあるとちょっと安心だよ。
細かいディティールにも気を配ってみよう。
STEP4 ゴージラインを意識してみよう!
STEP5 コスパの良いおススメのスーツは?
青山の「サヴィルロウ」「ヒルトン」
ポールスミスのTAILORED COLLECTION