1978 -アラフォーからの一生モノ探しー

アラフォーのオッサンが自分のスタイルを探し続けるブログ。

これは教科書か目次のない辞書か『赤峰幸生の暮らしっく』

楽しみにしていた赤峰幸生氏の写真集「赤峰幸生の暮らしっく」が届いた。さっそく読ませていただいたので今回はその感想を述べたいと思う。ブログ初の書評。

 

 

1944年生まれの78歳。

一般的には「おじいちゃん」と呼ばれる年齢でありながら現在も現役バリバリだ。

年に何回もトランクショーをこなし、日本中を飛び回り、常に新しいアイテムを考えている。

 

今回はその赤峰幸生氏が78歳にして写真集を発売するとのことで楽しみにしていた。

毎日Instagramをチェックしているし、だれか写真集にしてくれないものかと思っていたので渡りに船だった。

 

写真集を作るという話しを伺ったのはだいぶ前だし、価格を聞いたのも結構前だった気がする。1万円という価格は筆者にとっては気にならないが、一般的に78歳の「おじいちゃん」の写真集が売れるのか?は疑問に思っていた。

 

先日、写真集を出版した山下さんにお会いする機会があり、ずばり大丈夫なのか聞いてみたところ「めちゃくちゃ良いとは言えないけどホッとしている」とのことだった。

やはり赤峰幸夫氏は時の人なのだ。

 

 

書評『赤峰幸生の暮らしっく』

 

この写真集は大きく分けて「春夏秋冬」で季節ごとに写真を収めている。

そしてそれだけではなく、幼い頃から家族の話し、そして服飾に進む話から始まり、民藝の話しや食べることの話しといった、言わば赤峰幸生を形成するための骨子が書かれている。

 

1ページ1ページに見どころがあり、日本の「春夏秋冬」、自然と調和させる赤峰幸生氏の装いは、季節ごとに、年齢を重ねていくたびに発見があるのかもしれない。

 

 

1ページ目に書かれていた文章。

「この一冊はこれから大人になる人の為に」

 

残念なことに、本当に残念なことに筆者はすでに40代半ばであり、すでに”大人”だということだ。もし今自分が20歳だったらと思わずにいられない。

この本を若い頃の自分が読んでいたらどうだっただろうか。反発しただろうか。でもおそらくは読んだ瞬間からクラシックスタイルに傾倒しただろう。

良いと思うもの、美味いと思うものは昔から変わっていないのだから。

 

 

筆者は過去にこの写真集を買う理由をこう述べている

「自分の装いがクラシックなのか、驕っていないか、やりすぎてないか、そういうことを確認するための教科書」として買うのだと。

 

しかし読み終わて思うことは装いの教科書であり装いの辞書でもあるということ。

目次なんてない。きっと読み込んで「この辺がこのページ」って開けるようになる。そんな気がする。

 

赤峰幸生氏は”秋”の人。

 

筆者にとって赤峰幸生氏は秋の人である。

もちろんこれは勝手にそう思っているだけ。その理由は何度目かは忘れてしまったが、秋のめだか壮に伺った際に、赤峰幸生氏が出迎えてくれたことがあった。その時の装いがあまりにも見事に秋を体現していたことで強烈な印象を受けたのだ。

赤峰幸生氏はその時のことを覚えていないだろうし、いつも通りの装いだったと思う。しかし筆者にとってあの日は一生忘れることのない出来事だった。

 

本書である『赤峰幸生の暮らしっく』でも、やはり秋の装いに目が行く。

秋の紅葉、落ち葉の色、草木が枯れていく様、これらの自然と実に調和された装いをされており、これはとても真似は出来そうにない。

 

これはあくまで筆者の感想であり、人によっては「いやいや、赤峰幸生氏は冬の装いこそが一番なんだ」という人もいるだろう。春夏も同様。

筆者のように赤峰幸生氏の装いに感銘を、衝撃を受けた人は少なくないのだから。

 

ワードローブの考え方を学ぶ。

 

本書では最後の方にたっぷりと赤峰幸生氏のワードローブを紹介されている。

グレンオーヴァーのダッフルコートから始まり、ヴィンテージのアクアスキュータムのトレンチコート、そしてリヴェラーノのスーツ。アントニオ氏のリヴェラーノだけでなく、兄であるルイジ氏のリヴェラーノも紹介されている。

 

他にもニットやシャツ、いろいろなアイテムが紹介されているが、ボロボロなものも少なくない。しかしどれも”味”があり、「ああ、いつかはこんな風になるまで着込んでいきたい」と思わせられるのだ。

 

最後の最後には。

 

本書には当ブログでも紹介した「渓谷飛越」が全文網羅されている。

 

そして何より最後には赤峰幸生氏×白井俊夫氏の対談があり、アントニオ・リヴェラーノ氏から赤峰幸生氏へのメッセージが書かれている。

これだけでも読む価値がある。世界一のテーラーが赤峰幸生氏をどう思っているのか。

 

少し前に赤峰幸生氏とお会いした時に、アントニオ氏から電話がかかってきたことがある。イタリア語で流暢に会話されている赤峰幸生氏は、何でもないことのように「アントニオから~だって」と教えてくれた。”~”の部分はここでは書けない。

いつか書ける日がくると良いのだけれど。その話の内容はともなく、会話の雰囲気やその後に伺った内容から本当に親密具合が感じられたことを思い出した。

 

まとめ。

いかがだったでしょうか。

今回は『赤峰幸生の暮らしっく』について感想を記事にしてみた。

本当であればこの写真が好きで、ここの装いが~なんて書きたいのだが、残念ながらあまり内容を載せるのはマナー違反だろう。

 

筆者にとってこの本は装いの教科書であり装いの辞書だと思っている。

そしていずれは息子に引き継ぐもの。

それまでに読み込んで頭の中に叩き込んでおきたいと思う。

 

最後にこの本を作ってくれた山下英介氏に心からの感謝を。

本書は以下から購入可能です。(在庫があれば)

https://mononcle.base.shop/

 

今回は以上です。ありがとうございました。