
今回はスーツやジャケットの仕立てについて。ちょっとマニアックな話ですが、お店やブランドによっても定義が曖昧です。興味がある方はご覧ください。
― 用語が混在するオーダースーツの世界を、仕立ての本質から整理する ―
スーツのオーダーには「パターンオーダー」「イージーオーダー」「メイドトゥメジャー」など、似たような言葉がいくつもあります。
しかし実際には、店ごとに呼び方が異なり、同じ方式でも別の名前で紹介されることも珍しくありません。
そのため、名前だけで違いを理解しようとすると、かえって混乱してしまいます。
この記事では、ブランド名やショップの事情は一度脇に置き、
仕立てのベースとなる型紙の補正から、3つの方式の違いを整理します。
呼び名に惑わされず、自分に合ったオーダー方式を選ぶための基準をまとめました。
(ビスポーク/フルオーダーは全く別なので除きます)
なぜ用語が混在するのか

日本のスーツ業界では、オーダー方式の呼び方が統一されていません。
理由はシンプルで、各ブランドやショップが独自の呼称を使っているからです。
(言葉の定義が適当なのはファッション業界あるある)
- パターンオーダーを「イージーオーダー」と呼ぶ店
- イージーオーダーを「メイドトゥメジャー」と紹介するブランド
- 逆に、MTMでも補正幅が狭いケースもある
このように、呼び名と実態が一致していないことが多い。
だからこそ、
“名前ではなく、何ができるか(型紙補正)で判断する”
これが最も正確で、失敗しない選び方ではないでしょうか。
3つの方式を「型紙補正」で整理する

ここからは、呼び名ではなく“型紙の補正”を軸に、3つの方式を整理します。
◆ パターンオーダー
既存の型紙(ゲージ服)をベースに、サイズを微調整する方式。
- 既製服ベース
- 補正は限定的
- 仮縫いなし
- 生地やディテール選択中心
- 納期が比較的短い
補正例:袖丈、着丈、ウエスト、股下、裾幅 など
いわば、既製服の延長線上にあるオーダーです。
体型にクセが少ない人であれば、十分満足できる仕上がりになります。
また、最近ではパターンオーダーでも前肩・怒肩などをある程度補正できる店もあります。
◆ イージーオーダー
既存パターンをベースにしながら、体型補正をかなり細かく行う方式。
- 基本パターンを補正して作る
- 体型補正が豊富
- 仮縫いなしが多い
- 国内縫製系テーラーで多い分類
- 日本独特の用語に近い
補正例:前肩、反身、屈身、怒肩、なで肩、左右差補正、O脚補正 など
パターンオーダーよりも自由度が高く、
「体型に合わせてしっかり調整したい」
という人に向いています。
実際には、「高度なイージーオーダー ≒ MTM」として扱われることも多いようです。
◆ メイドトゥメジャー(MTM)
採寸値をもとに既存パターンを調整し、個人向けに仕立てる方式。
- 既存パターンをベースに調整
- 体型補正の自由度は店によって差が大きい
- 仮縫いなしが一般的
- デザイン選択肢は比較的広い
- 実態はパターンオーダー〜高度イージーオーダーまで幅広い
「MTM」という言葉自体には明確な統一基準がなく、店によって内容がかなり異なるため、補正範囲や工程確認が重要になります。
呼び名よりも「型紙補正」で選ぶべき理由

同じ“メイドトゥメジャー”でも、実態はパターンオーダーに近い場合があります。
逆に“パターンオーダー”でも、補正幅が広く、ほぼイージーオーダーに近い店もあります。
つまり、呼び名はあまり当てにならない。
選ぶべき基準は、次の3つです。
- どこまで補正できるか
- 型紙を作り直すのか、既存の型紙を使うのか
- 仮縫いがあるかどうか
この3点を確認すれば、呼び名に惑わされることはありません。
どれを選ぶべきか
読者が迷わないように、シンプルにまとめます。
- 体型にクセが少ない
→ パターンオーダーで十分 - 肩の傾斜や姿勢に特徴がある
→ イージーオーダー - 体形に特徴がある/こだわりが強い
→ メイドトゥメジャー
ただし、本当にお店やブランドによって変わってくるのでご注意を。
気になる方はお店に確認しましょう。
まとめ。
いかがだったでしょうか。
今回はスーツやジャケットの仕立て(オーダー方式)についてでした。
スーツのオーダー方式は、名前だけを見ると非常にわかりにくい。
オーダー方式は呼び名よりも、“型紙をどう扱うか”と“どこまで補正できるか” という本質で分類すると、違いがはっきりします。
- パターンオーダー:既製服の延長
- イージーオーダー:補正幅の広いオーダー
- メイドトゥメジャー:パターンオーダー〜高度イージーオーダー
大切なのは方式そのものではなく、自分の体に合うスーツを手に入れること。
そのためには、呼び名ではなく、
「どこまで補正できるか」
を確認するのが最も確実です。
皆さまが、自分に合った一着に出会えることを願っています。
今回は以上です。ありがとうございました。