1978 -アラフォーからの一生モノ探しー

アラフォーのオッサンが自分のスタイルを探し続けるブログ。

日本における洋装の『クラシック』を考える。

今回は少し真面目な話し。99%の日本人は現在洋服を着ていると思います。そんな中で日本における「クラシック」ってなんだろう。興味がある方はご覧ください。

 

最初に書いたのが2019年。定期的に見直している記事になります。ある意味当ブログの根幹のような内容になります。

日本人が洋装をするようになったのは明治維新あたりからでしょうか。赤峰先生は日本の洋装の歴史が浅いと仰います。おそらくは、戦争によって積み上げてきた服飾文化が無に帰したこともあっての発言かと思います。

 

確かに大正時代の写真を見るとカッコいい人が多い。男性も女性も。

これが線として現代に繋がっていれば、今とは全然違った服飾文化が出来上がっていたのかもしれません。

 

しかし残念ながら日本における洋装のクラシックは、英国やイタリア、アメリカといった国々とは違って「日本ってこうだよね」という形は出来ないのかもしれません。これは国民性なのかもしれませんね。

 

 

これは当ブログの1つの終着点の話し。

いきなりなタイトルですが、当ブログは皆様にいろいろなものを紹介しながら自身のスタイルを模索し続けるさまをお届けする、というものです。

当ブログの推奨は以下の記事ある通り、「トラッド」とか「クラシック」と呼ばれるものです。イギリスでもイタリアでもなく、そしてアメリカでもない。「日本のクラシック」というものを、もし見つけて定義出来たならそれはブログの1つの終着点だと思うわけです。

www.1978.tokyo

 

クラシックは国民性と風土から生まれる!?

f:id:magic_0147:20180228205936j:plain

 

紳士服の源流はイギリスになります。イギリスで生まれたスーツというものが世界中に広まって、特に3つの国でスタイルとして定着しました。

1つは当然源流であるイギリス。
1人1人に合わせて仕立てるビスポークの文化で、立体的な胸元と絞ったウエストから生まれる「イングリッシュ・ドレープ」が特徴となります。肩パッドや芯地もきっちりつかって構築的な仕立てをするのでガッチリとしたスーツとなります。温暖とは言えない気候からか生地も目付の重い重厚なものが多い印象があります。
 
もう1つはイタリア。
所説あるようですが、イタリアスーツはイギリス貴族が余暇をイタリアで過ごす際に持ち込んだスーツが、温暖な気候に合わず現地の職人に仕立てさせたところから生まれたという話しです。北部のミラノではイギリス色が強く、南部のナポリでは肩パッドや芯地のないアンコン(アンコンストラクテッド)仕立てだったりと、地方ごとに独自色が強くなります。イタリア料理もそうですね。
 
最後にアメリカ。
アメリカがイギリス・イタリアと大きく違うのは真逆の進化をしたというところでしょうか。イギリス・イタリアが1人1人に合わせて仕立てるビスポークの文化だとしたら、アメリカは大量生産・大量消費に向かっての進化、1人1人に合わせるのではなく、大多数の人に合う、そして機能性が高く仕事をするのに楽なスーツという形です。今の日本は明らかにアメリカの文化の色が濃いと思います。
 

日本の国民性や風土は!?

 

日本人ほど職人に敬意を払い、職人仕事を尊重するお国柄は珍しいのではないしょうか。そしてその一方で合理的でもあるので、マシンメイドのような大量生産に対する忌避感もなく、モノ作り大国といっていいくらい高い技術力を誇る国だと思います。

 

これは服飾についても当てはまり、昔テレビ番組でポールスミス氏が何故日本で生産しているのか?という質問に対して「日本のおばちゃんの技術力がアメイジングだからさ」みたいなことを言ってたのを覚えています。

 

その一方で存在するのが『ブランド信仰』でしょう。日本車の品質が高くなって世界一売れるようになっても外車への憧れが強い方が存在するように、服飾でもハイブランド、ラグジュアリーブランドへの憧れが強い方が多い。

 

これは別におかしいことではないと考えています。日本車の安全性や品質が上がっても、フェラーリが欲しい人はフェラーリが欲しいんです。どれだけ高い技術力があって品質が高くてもそれが世界で競争出来るブランドにはなかなかならない。

服飾についても高い技術があって高い品質のモノを作ってはいるものの必ずしもブランド力が強いわけではない、というのが日本の状況ではないでしょうか。

 

 

さて、それでは風土はどうでしょうか。

日本と言えば「四季」ですが、「四季」なんてどこの国にもあるよ、なんて言われることがあります。ただ日本の四季はかなりメリハリがあるというのが特徴だと思います。3~4ヶ月程度の期間で季節が変わり、春と夏の間には梅雨までありますからね。

 

特に昨今の夏は尋常じゃない暑さになることもあって、ノータイは当然としてスーパークールビズと呼ばれるノースーツも定着しました。有名な話ですが環境省がアロハを導入したりと国が対策を考えるようなことになっています。

 

ちなみにアロハの是非は人によるかと思いますが、大人しいデザインのものは個人的に「あり」です。というのもアロハはハワイでは正装という扱いですから、国が違っても正装と扱われるということを考えると実は無難なのかなと。更に余談ですがアロハでも結婚式などに使われるのはシルクのアロハシャツだったりします。

 

日本における洋装のクラシックは?

f:id:magic_0147:20180915222602j:plain

 

わかりません。というより「ない」が現状でしょうか。

服を着る=ファッションという捉え方をする人が多い時点でクラシックな洋装など無理な話し。例えば昔の映画をみると外に出るときはしっかりとジャケットを着る、家に戻れば着流しのような服に着替える。こういったシーンを見ることが出来ます。

昔の東京競馬場の写真を見てもスーツを着ている人の写真が多く、だらしない服装の人はほとんど見ません。

 

今はファッションは自由だ!みたいな人が多くなったのかもしれません。飲食店に対して、あるいは映画のようなエンターテインメントに対して「美味しくない」「面白くない」というのは許されるけど、コーディネートに対して「ダサい」というのは許されない風潮があります。斉藤さん。にとっては不思議なことであまり理解は出来ません。

 

具体的な話しをすると例えば夏の装い。

現状ではクールビズは「クラシック」にはなっていないでしょう。だからこそなんかダサいと思うんです。例えば通常の装いからネクタイを外すというのはやっぱりダサい。シャツの襟型を意識していない人が多いせいもありますが、ノータイで決まるってなかなか難しいです。

 

ネクタイがないと中心が定まらないというか間が抜けた雰囲気になるんですよね。昔雑誌でビジネスでショートパンツを流行らそうとして失敗したこともあります。もっともそういうスタイルで仕事をする人もいるようですが、男性のすね毛を良しとする風潮はなかなか難しいでしょう。

 

まとめ。

いかがだったでしょうか。

今回は真面目に日本クラシックについて考えてみました。難しいですね。日本のファッション業界ってロクでもないですから。売れれば何でもありがまかり通る業界で、この考えが普通だと文化にはなり得ないのかなと。

 

個人的には日本のクラシックとして有力なのはイージーオーダーとかパターンオーダーかもしれないと考えています。日本独自の文化というか、ある程度体にあったスーツを低価格でスピーディーに作れるって実は凄いと思うんですよね。海外のビスポーク文化と既成文化の良いところ取りしたような。

もっとも日本シルエットみたいなものが出てこないと難しいですかね。

 

 

今回は以上です。ありがとうございました。