1978 -アラフォーからの一生モノ探しー

アラフォーのオッサンが自分のスタイルを探し続けるブログ。

続カシヤマがヘンリープールのオーダー展開!?について

少し前に紹介した記事の続編です。今回は新たな取り組みというか、ちょっといつもと違う形で記事を書いていきたいと思います。興味があればご覧ください。

 

 

前編はこちらをご覧ください。

カシヤマがヘンリープールをオーダー展開することについて思うことを述べています。

先にコチラをご覧いただければと思います。

www.1978.tokyo

 

興味深いコメントをご紹介。

 

前回の記事に素晴らしいコメントをいただきました。

長文ではありますが、とても参考になるので一読ください。

皆様、こんにちは。近いうちに樫山にも確認に行きますが、私は数度、三越本店のヘンリープールでオーダーしていますので、その知見をお伝えします。

大阪阪急メンズ館ではヘンリープールが用意している生地(27万)、それ以外はゼニア(30万程)しか選ばせません。パターンオーダーです。そのため、樫山でやっているのもこれと同じと思われます。

一方、三越伊勢丹では13万からオーダー可能です。この場合、中外国島の生地を指定します。目付は250gで、300gは14万ほど、私は300gでネイビーを作りました。橋本だと17万ぐらいです。いずれも英国製と遜色ありません。直に確認することができます。

三越伊勢丹オリジナル型紙はこれより6万安くなります。ですが、これだと一般サラリーマンのようになってしまうので+6万は私は価値があると見ています。その差は型紙と仕立てで、型紙のサイモンは福島県、フィリップは青森のどちらも日本最高峰の技術の工場で作っています。工場のランクが違います。全て手縫いは都内豊島の工場です。しかし、手縫いとマシンにはそれぞれ長所があり、適材適所に使うのが良く、そのため福島、青森工場の方がベターです。これらの工場は手縫いを多く取り入れています。

 

パターンオーダーに対する批判もありますが、それはご自身の体型によります。私はアレックス・クックさんに見ていただき、92のゲージを羽織るも、ピッタリで修正点は無しでした。そこから脇を少し絞るか、肩甲骨あたりを5mm削るかになりますが、これはケースバイケースです。魅せ方次第で決定します。

こういう修正最低限の人は200人に一人いるようです。ビスポークは一からビルドしますが、パターンは型紙の修正です。型紙はテーラーの理想です。ヘンリープールの理想に合致しているのならその方が良さそうです。コストも抑えられます。

理想から乖離しているなら、ビスポークで折り合いをつけねばなりません。そういう人にとってパターンオーダーは不完全なものです。私のような人間はパターンで十分そうです。私はとにかくヘンリープールを着たいということだったので、型紙は歓迎でした。

 

仕立てですが、私が思うに日本の縫製工場は英国を凌駕する可能性があります。私は英国はアクアスキュータムやダン&coのヴィンテージを持っていますが、私個人は日本の方に信頼を置きます。

ヘンリープールの型紙の価値ですが、他にも良いものはあるし、イタリアやフランスにも良いものはあります。ですが、信頼を重視するエグゼグティブにとり、イタリアやフランスは選択外です。酷似してはいます。ですが、背景の哲学が違う、これがどうしてもわかってしまいます。世界のトップでも情報機関、或いはその出身の人たちはブリオーニなどを好むようですが。
かといって、日本の有力テーラーでは、威厳がかなりあります。威圧感すらあります。これも困ってしまう、そうするとどうしても英国に戻ってしまいます。せヴィル・ローは微妙な緩さがあります。格式がある、軍服のようなものもある、私はギーブス&ホークスを二枚持っていますが、これですら、親しみがあります。それでいて信頼感も醸し出します。この感じを出すために英国型紙は縫製が難しく、それゆえにトップの工場で扱っています。

 

私は日本のヘンリープールは単なるライセンス販売ではないと思っています。タグをつけているだけのものではないということです。パターンオーダーは、未確認ですが現在は英国本店でもやっているようです。おそらく英国の工場、私は日本の方が上と思っています。

どの方も型紙を詳しく把握しておられますが、ですが、彼らは顧客の希望にも添いたい、体型にも合わせつつ、と考えています。ですから、オーダーする方の考えが不明確だとどうしようもありません。スーツは雰囲気が重要です。背景のビジョンや哲学こそが命です。それは着る方にも言えます。わかっていない者がヘンリープールを着ても違和感があるだけです。オーダーなので細部をどうするか聞かれますが、全

各店舗にはヘンリープール採寸担当のカッターがいます。

て即答できるぐらい把握している必要があります。

 

しかし私は、カッターにも意見を求めますし、アレックスさんには英国人はどうしているか尋ね、それに全て「同じようにしてください」と答えました。専門家の意見を重視しないと自分が成長しません。カッターを信用しない顧客は多いですが、その前に自分がわかっている必要があります。

ヘンリープールを着たい、というのであれば、日本のパターンオーダーが最良と思われます。参考になりましたら幸いです。

 

このコメントに対してのアンサー。

 

既に発注経験ありさん。

まずはとても参考になるコメントをありがとうございました。

書くだけでも大変だったかと思いますので思いが伝わってきました。

 

その上で私の回答は以下の通りです。

まず、前回の記事で書かせていただいた通り、日本製なのであればスーツのクオリティはとても高いものだと思われます。発注経験ありさんのコメントからもクオリティの高さが伺えます。

 

その上でそのスーツがヘンリープールか?と言われると、私の感覚では「違う」と思ってしまう。型紙がヘンリープールだからヘンリープール、だとは思えないからです。

ざっくりとオーダーしてから出来上がれまでの流れを書くとこんな感じだと思います。

  1. ヒアリング
  2. 生地選び
  3. 採寸
  4. 型紙の作成(パターンオーダーの場合は既存の型紙を補正)
  5. 生地の裁断
  6. 仮縫い/中縫い・フィッティング(パターンオーダーの場合はなし)
  7. 縫製
  8. 検品
  9. 試着・納品

この中で大切なポイントがどこか?

それは「1.ヒアリング~3.採寸」だと考えています。つまりここがテーラー、ブランドの肝となる部分。

 

国内の有名テーラーでもパターンオーダーは外注、というのが普通です。

だから「1.ヒアリング~3.採寸」で肝の部分を入れ込むわけです。型紙だけでは「ヘンリープール風」になってしまうのではないかと思います。

いただいたコメントに以下の一文があります。

各店舗にはヘンリープール採寸担当のカッターがいます。

これが「本物」であれば問題ないと思いますが、おそらくそれはないのではないかと。英国で数年単位で修行したとかであれば「本物」だと思いますが、そんな本物が大量にいるわけがない。

三越本店とカシヤマでは違うのかもしれませんが、少なくともカシヤマのWebサイトにはそんなことは書かれていません。

 

ヘンリープールだけでなく、ビスポークテーラーというのは型紙から起こすのだから何でも出来ます。ヴィンテージショップにいけば「えっ?これ〇〇なの?全然雰囲気違うけど」というものがあるのはそのせい。オーダーした人の好みが反映された結果、本来のイメージとは違うものが出来上がったりします。

パターンオーダーは違います。体型に合わせて補正できる範囲が決まっています。

そして既成はそのままです。

 

だからビスポークが一番良くて規制はダメなのか?

そんなことはありません。

既成のスーツで体にぴったり合うならそれに越したことはないと思います。発注経験ありさんのように型紙を修正なしで着られるのであれば、ビスポークしなくてもいいと思います。

 

しかしながらカシヤマでヘンリープールをオーダーしてそれがヘンリープールか?と言われればそうは思いません。それはスーツの良し悪しとは別の話しとして。

斉藤さん。にとっては「1.ヒアリング~3.採寸」をヘンリープールの人がやってはじめてヘンリープールだと考えるからです。

 

読者の熱いコメントをご紹介。

通りすがりのチャーチル

こんにちは。

熱いコメントですね。
なので、熟考した上で”私の考え”を述べさせていただきます。

まず初めにパターンオーダーについて、私は非常に効率的でビスポークに比べてにリーズナブルで、それでいて既製品に自身にフィットした洋服が造れる、とてもいいプランだと思っている事を最初に言っておきます。

私は、有名テーラーの名前を関したパターンオーダーには懐疑派です。
というのも本来、英国テーラー(ビスポークメインの意)のスーツというのは型紙”ありき”ではないからです。生地選びや採寸時の雑談、顧客の要望や嗜好からパタンナーが起こす型紙、出来たパターンからカッターが生地を切り出す、そしてテーラーの馴染みの工場もしくはテーラー内で縫製する。こういう工程ごとにそのテーラーまたは職人の癖みたいな物や工夫、遊び心みたいな物が入って出来上がるのが、そのテーラーのスーツだと思っています。

翻ってパターンオーダーと言うのは、より多くの人にフィットする様に考えてパターンが作られており、それを個々人に合うよう修正しフィットさせていく物だと思います。
さて、国内で展開する有名テーラー名を借りたパターンオーダーはというと、確かにパターンは本国で制作されているでしょう。しかし採寸師が派遣されている訳でもなく、採寸結果を当てはめてパターンを修正するのも国内(当該企業内の人材、最近はPC上で一発修正というのもあるとか)、そして国内の工場で縫製する。
ここまで書くと分かっていただけると思いますが、テーラーのエッセンスが入る余地ってパターンだけなんですよね。さらにパターンの修正はテーラー外の人間が行う。
少なくとも本国のパターンオーダーは、採寸やパターン修正はそのテーラー在籍者ですし、工場も馴染みの工場でしょう。
その状況で本国の雰囲気がどの程度出せるかはとても懐疑的です。
某大手セレクトショップの取扱品なんかは、本国製作サンプルに修正案出しすぎて結果特徴が消えてしまってるなんて話も聞きますし・・・。

終りに、間違ってほしくないのは国内の技術が低いと言ってるのではなく、テーラーの看板に期待する物が違うという事です。実用品と考えるなら日本製は間違いないでしょう、そこに意見を差し挟む余地は有りません。
しかし僕がテーラーの名前に期待するのは、実用品としてだけではなく嗜好品としての洋服なのです。それは完璧なものというより、テーラーの雰囲気が香るモノなんです。

 

satoimo1976

パターンがほとんど補正がいらないほど体型に合って、出来栄えにも満足しているのなら余人が口を挟むことではないと思います。
 服好きにとって、自分の好みのスタイルを貶されるのは宣戦布告されるようなものですしね。
 ただ、そこまでパターンの合う人が200人に1人しかいないのであれば、残りの199人にとっての満足できる選択は当然違うものになるのかなと。
 ちなみに私の場合は極端ななで肩で、百貨店のパターンオーダー(カシヤマですがヘンリー・プールではありません)ではあまり良いとは思えませんでした。
 結果、ジャケットやスーツは既製品をセールで試着してアリかなと思ったものを買う場合と、テーラーでビスポークする場合とに2極化したので、しばらくパターンオーダーは作っていません。
 私の場合は極端なのでしょうが、結局は個々人で満足できる形を探るしかないのだと思います。
 寝る直前に書いたせいか、私の中で別枠だったせいか、ARLで茶のコードレーンのスーツを作ったことを、先のコメントを書いているときは忘れていました。
 数年パターンオーダーから遠ざかっていたのにトランクショーに行ったのは、赤峰先生の世界観に触れたかったというのがあります。本文のコメントの方にとってのヘンリー・プールが私にとってのARLのようなものですので。
 着心地でいえば、いくら赤嶺先生が細かくフィッティングしてくださっても、初回に作製したスーツでは複数回ビスポークしたものにはかないません。赤嶺先生にもそれはトランクショーの時点で念押しされました。価格もそれほど差があるわけでもありません。
 ただ、他にないオリジナルの生地というのを差し引いても、注文する価値はあったと思っています。
 それがブランド力でしょうし、それに満足できるかどうかが大事だと思います。

 

トップガン

まず、詳しく教えていただいた、既に発注経験ありさんに感謝します。
おかげさまで三越伊勢丹さんがされていることは理解できました。
そのうえで、これがヘンリープールのスーツですと言われて、自分の中でストンと落ちるかというと、正直落ちていないです。
私もパターンオーダーで最も重要なのは、フィッターだと思っています。フィッターが型紙は当然熟知しています、ヘンリープールで実際に採寸していました、というならわかるのですが、ヘンリープール側の関わりがいまいち明確ではないため、腑に落ちないというのが、今のところの気持ちです。

 

まとめ。

いかがだったでしょうか。

今回はとても良い記事になったというか、本当に「既に発注経験あり」さんに感謝させていただきたいと思います。その他、熱いコメントしてくださった皆様にも心からの感謝を。

 

全ての方が紳士的に意見をぶつけられるのは素晴らしいことだと思います。

意見はそれぞれあっていいと思います。斉藤さん。は斉藤さん。が思うことをこのブログで書きますし、そうでない方はコメントをいただければと思います。

いや、「こいつはおかしい!私もブログで発信する」という方が出てもいいと思います。むしろ出てきて欲しい。

 

建設的な意見を出し合えるというのは素敵なことですね。

斉藤さん。の考えは以下にまとめてあります。有料記事ですが興味があればご覧ください。

note.com

 

今回は以上です。ありがとうございました。