今回はオーダー靴の制作現場で取材してきた@完結編です。前回の記事はかなりの反響をいただきましたが、今回もレアな画像満載となっております。いずれ革靴をオーダーしてみたいと思っている方は是非ご覧ください。
前回の取材記事はコチラ。
木型やパターンと呼ばれる型紙、補強芯や中底なんかを紹介しました。
未読の方は先にこちらからご覧ください。
Gozovationの制作現場で取材しました@その2
職人の畑氏から途中経過の写真を提供していただきました。
ありがとうございます。
また、前回に引き続きお忙しいにも関わらず、取材をお受けいただき感謝しております。今回も拙いながらも革靴の制作についてお伝えできればと思います。
どうですかこの画像。
見た瞬間なんだこれ!?ってなった貴重な画像。これはシャコ止め(かんぬき)と呼ばれる補強部分を縫っているところです。
もうこの革靴になる前の中途半端な形がレア過ぎますよね。
一挙4枚の写真をご紹介しました。
見ての通りで靴底の制作の流れをご覧いただきましたが、こうやって見ると経過がよくわかりますよね。
前回記事で木型に中底を取り付けるところをご紹介したんですが、そこから手が入っていくとこうなるんですね。
木型に補強芯と革を被せていく画像。
これもレアですよね。
ちなみにここまでの画像は全て職人の畑氏からご提供いただいたものです。
貴重な画像ばかりいただいて本当にありがとうございます。もっと多くの写真をご提供いただいたんですが、記事が重くなりすぎるので全ての写真をご紹介できませんでした。
取材に伺ったときの状態がこちらです。
いいですね~。理想通りの靴に仕上がってれそうです。
この淡いブラウンが良いんですよ。
こだわったつま先の雰囲気も理想通りです。こうなってくると革靴の完成形が見えてきますよね。
今回取材してきたのはこちら。
これが何だかわかる人いないですよね?これはウェルトと呼ばれる部分で、アウトソールと縫合するために革です。
ウェルトに色を軽く塗ってから取り付けて、取り付け後にまた色を塗るんだそうです。
革(アッパー)が汚れないように業務用ビニールを取り付けます。
今後はこの状態で作業をしていくんだそうです。
ウェルトを縫い付けていく畑氏。
左手に持つ道具で穴をあけて、そこに紐を通していくんですが、細い糸をかなり力を入れて引っ張るので右手にはプロテクターをしています。
靴にバンドをしていますが、これは左足に繋がっていて靴を固定するためにしているとのことでした。
この作業だけで片足分で1.5時間。両足やったら3時間。
畑氏が靴職人は腰とか首をやられる人が多いと言っておりましたが、この姿勢でずっと作業をしたら確かに痛めそうですよね。
ウェルトと中底で紐のピッチが等間隔となっているのが伝わりますかね?
これが重要なんだそうです。
ウェルトを取り付けた後はビニールや不要な革を取り除いていきます。
ちなみにかかと部分はまた別のやり方をするんだそうです。
ウェルトを取り付けた画像。
いかがでしょうか。
今回お願いしたハンドソーン(9分仕立て)の場合、ウェルトとアウトソールを縫うのは機械でやります。フルハンドの場合はそれも手縫いとのこと。
ウェルトをハンマーで叩くことで密度を高くするんだそうです。
下の画像の赤丸で囲ったところが薄くなっているのが伝わりますでしょうか?かなり固くなっています。
そして取り付けたウェルトの不要な部分を削るために線を引きます。
といっても一気に全部削るのではなく、ある程度削ってからアウトソールを取り付けて、また綺麗に削るんだそうです。
あとはアウトソールを取りけたらだいたい完了といった感じです。
取材はこれで終わりですので次回は完成編となります。
いやー、めっちゃ楽しみですね。
制作者に質問してみた。
今回もGozovationの若き靴職人である畑氏に気になることを聞いてみました。
一問一答をご覧ください。
Q.ウェルトの取り付けが終わると全体工程の何割くらい終わった状態でしょうか?
A.今回は木型から作成しましたが、そちらも含めてだいたい8割くらい終わった状態となります。
Q.1足作成するのにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
A.1足に集中して2週間はお時間をいただきたいです。
Q.ということは1ヶ月で2足、3足は作れないということですね。
A.そうですね、もう少し作れるようになれればと思いますが、1足1足しっかりと作って行くと今の私では2足が限界です。
まとめ。
いかがだったでしょうか。
今回はGozovationの制作現場取材の完結編でした。大量に写真を貼ったので重いかと思います。申し訳ない。
ただ、言い訳するわけじゃないですがこれでも減らした方なんです。もっともっと使いたい写真があったくらい。
今回の取材を通して思ったことは革靴のフルオーダーって高いけど、高いだけの理由があるということ。
例えば今回のオーダーでいうと以下のようになっています。
- 木型:80,000円
- ハンドソーン(9分仕立て):170,000円
- 革代(コードバン):60,000円
合計で31万円と金額だけ聞くと凄い高いですよね。いや、確かに高いしそうそうオーダーなんて出来ませんが、木型は初回のみ、革代は安いものなら1万円台です。
そうすると次回以降は20万円以下ということになります。
えっそれでも十分高いって?
確かにそうなんですが、ちょっと考えて欲しいのは職人が2週間かかって作成する、しかも革以外の材料費は職人の支払いと考えるとどうでしょうか。
確かにお高い。でも当然というか、安くなるポイントがなかった。革靴のフルオーダーってどこに行っても高いけど、それも当然なんだなと思った次第です。
とはいってもそう簡単には出来ないですけどね(笑)
最後になりますが、今回取材にご協力いただいたGozovationの皆様、特に靴職人の畑氏に心からの感謝を。ありがとうございました。
本当に勉強になったし貴重な体験をさせていただきました。
今回の記事がフルオーダーを検討している方の参考に少しでもなれば幸いです。
今回は以上です。ありがとうございました。